放射線技師のにちじょ〜。

放射線技師がお酒とガジェットを紹介するブログ。

新人放射線技師の方向け!『胸部撮影のポイント』

みなさん、こんにちは。いわたろです。

 

4月から働き始めた新人放射線技師のみなさん、職場の空気に少しは慣れましたか?(笑)

 

新人の皆さんは最初に配属された部門の簡単な仕事からきっと覚えていっていることと思います。一般撮影でいうところの「胸部撮影」ですかね。

 

胸部撮影はシンプルな撮影ですが、それだけでなく圧倒的にオーダー数が多い撮影でもあります。それはなぜか。

 

胸部画像一枚から得られる情報量が莫大だからです!

 

もしかしたら新人の皆さんは、ただの簡単な撮影だからといってあまり重要視していないかもしれませんが、それは大きな間違いです。

胸部撮影こそ放射線技師の仕事の基礎であり、根幹でもあるということを肝に銘じましょう。

 

ということで今日は胸部撮影について書いていきたいと思います。

ちなみに自分の知識プラスこの本を参考にして書きました。

この本のシリーズはとてもおすすめです!各撮影についてとても詳しくわかりやすく書いてあります。どんな参考書でもできるだけ早めに買っておいた方が良いかと思います。

 

 

 

胸部X線写真の簡単な解剖

まずは胸部撮影の簡単な画像解剖をおさらいしましょう!

f:id:iwataro:20180409230832p:plain

①肺野(Lung) ②肩甲骨陰影(Scapula) ③大動脈弓(aortic arch)

④気管〜主気管支(trachea~main bronchus) ⑤心臓

⑥上大静脈(SVC) ⑦肺動脈(PA) ⑧横隔膜(diaphragm) ⑨胃泡

⑩鎖骨(clavicle) ⑪胸椎~腰椎(Th~L) 

 

だいぶざっくりですが、とりあえずこんな感じです。

あと絶対に英語も覚えときましょう先生方は部位を英語で話してなにかを指示してくることが多いです。知らないとおそらくテンパってしまうのであらかじめ知っておいた方がいいです。

 

スタンダードな撮影法

 胸部PA撮影の撮影法は非常にシンプルです。

 

①体をまっすぐにして受像面に対して正面向きに密着させる。

②肩の力を抜いて腕を広げ、肘を外向きにして肩を前に突き出すようにする。

③両肩甲骨下縁を結んだ線の中点をX線中心とする

④SID200cm程度の遠距離撮影、尚且つ管電圧は120kV前後の高圧撮影とし、撮影時間は20msec以下とする。

 ⑤最大吸気で呼吸停止下で撮影する。

 

たったこれだけです。学生時代に使っていたテキストなどはこのぐらいしか書いていないかと思います。

 

しかし、この撮影法はほんの一例で、実際に撮影する際はもっといろいろな部分に目を向ける必要があります。また、「なんでこんなふうにする必要があるんだろう」と思うところもあると思います。

 

というわけで、さきほどの撮影法をベースに①~⑤についてもっと深く考えていきましょう。

 

撮影法のポイント  

まず①で重要なことは、「体を受像面に密着させる事」です。

なんで重要なのかは知っていますか?知らない方はせっかくなので今覚えてしまいましょう!

体が離れてしまうと何が問題なのか・・・まずパッと思い浮かぶのは画像のボケですよね。X線束は円錐状に広がりを持って照射されているので検出器と被写体との距離が離れるほど拡大し、画像はボケてしまいますよね。

 

といってもそれはそこまで問題にはならないと思います。なぜなら、立位PA撮影では200cm程度の遠距離で撮影しているからです。SIDを離せば離すほど拡大率は下がり、ボケを防ぐことが可能です(距離の逆二乗則より、線量は必要になってきますが)。

 

そもそもなぜ胸部撮影は遠距離で撮影する必要があるんでしょうか?

 

それは胸部が厚みのある部位であるからです。胸部には前縦隔、中縦隔、後縦隔があり、それぞれの領域に様々な構造物があります

つまりなにが言いたいかというと、撮影距離が短いと腹側の構造物と背側の構造物とで拡大率及びボケの差が大きくなってしまいます。なので距離を離す必要があるわけなんです。

 

つぎに②について解説します。これはもう皆さんご存知かと思いますが、肩甲骨陰影を肺野から外すために行います。肩甲骨陰影があるとその部分の肺野とそうでない肺野とでコントラストがついてしまい、見辛い画像となってしまいます。

 

ですが高齢の方の撮影の際、肩甲骨を外すというのは難しいことが多いと思います。その場合は無理をする必要はありませんが、少し肩を前に出すだけでも違いますのである程度努力しましょう。

 

 

③についてですが、今回書いた「肩甲骨下縁を結んだ線の中点」というのはほんの一例です。この場合、X線中心を決定してから検出器を動かして照射範囲を絞っていくという流れになるかと思いますが、胸部撮影の場合、肺尖からCPアングルまでが欠けていなければ良いと考えると、もう少し他の方法があるかと思います。 

・照射野によって投影された肩の影が受像面に入るようにする

・第七頚椎を受像面の上縁にする

といったような方法を用いて、まず検出器の位置、高さを決定してからその検出器の中心に照射野をあとから合わせる、という流れでもいいわけです。

なので、自分に合ったやり方を模索して一番スムーズかつ確実な撮影ができる方法を探してみるといいと思います!

 

そして④について、撮影距離が200cmである理由は前述の通りですが、管電圧が120kV前後である理由はどうでしょうか。もちろん肋骨陰影をできる限りなくすためですよね。

でもこの管電圧は自分が働いているところの電圧に従ってください。装置が違えば適正な管電圧も違ってきます。最近ではバーチャルグリッド呼ばれる優秀なソフトの存在によって、標準的な撮影条件は変わりつつありますし・・・。

 

そして、胸部撮影の場合、撮影時間は短ければ短いほど良いです。それは心臓が拍動しているからです。胸部撮影では最大吸気の呼吸停止下での撮影ですが、心臓は拍動を続けています。なので撮影時間が長いと心陰影がその分ボケてしまいます

「どの撮影でも撮影時間は短い方がいいでしょ!」

と思われる人がいるのであれば、それは間違いです。長時間撮影が適している撮影も存在します。よければ是非調べてみてください。

 

それから、立位の胸部撮影では自動露出制御装置(AEC)が導入されているかと思います。一般撮影系はフォトタイマ式ですよね。

採光野でX線を検出し、撮影時間を制御しています。AECを使う上で注意したいのが体の位置です

胸部正面撮影の場合、採光野は両肺野の位置に設定されています。そこで例えば体の位置が左に寄っていた場合どうなるか。本来左肺野に一致しているはずの左採光野に縦隔が存在することになります。縦隔は肺に比べて透過性は不良ですよね?ということは採光野にはなかなか線量が届かないことになります

 

結果として線量過多、なおかつ撮影時間の延長による心陰影のボケが発生し最悪の撮影となってしまいます。体の位置だけでも撮影の良し悪しに関わってきますので注意しましょう。もし仮にどうしても体の正中を受像面の中心にできないような方の撮影をする場合には、おもいきってフォトタイマをOFFにしてしまいましょう!その際は自分で適正な撮影条件を設定することを忘れないでください。

 

 

最後に⑤についてです。最大吸気にすることにより、肺の透過性が増して血管陰影などのコントラストが良好となるからです。また、最大吸気とすることで撮影の再現性が良くなることは想像に難くないと思います。

ポイントとして、息はゆっくり吸ってもらいましょう。勢いよく息を吸い込んで体がのけぞったり、肩が上がったりする人が結構いらっしゃますが、そうすると肺尖が欠けたりするので体は動かさず、ゆっくり吸ってもらうようにしましょう。

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

胸部撮影は簡単な撮影ではありますが、意外と注意すべき点がありますよね。きっとまだまだ注意すべきポイントはあると思いますが、とりあえずできることから1つずつやっていくのがいいと思います。

 

撮影の上手な人というのは相手の行動をうまく誘導できる人だと僕は思っています。

検査は患者様自身の協力は必要不可欠なわけですから、検査をスムーズに行うために、どんな体勢になってもらいたいのかをしっかり伝えるというのはとても重要なことです。

なのでまずは胸部撮影でそういったことも意識して撮影が上手になるように頑張りましょう!応援しています!