【診療放射線技師国家試験対策】陽子線治療ってどんな治療?X線とのちがいは?【放射線治療】

みなさん、こんにちは!いわたろです。

 

みなさんは陽子線治療をご存知でしょうか?

僕の働いている施設では陽子線は扱っていないので実際の陽子線治療を見たことがありませんが、とても興味があります。

現在、放射線治療の主流といえばX線による治療ですが、X線と陽子線とではいったい何が違うのでしょうか?

今日はそこに着目していきたいと思います。

 

陽子線とX線のPDDの違い

陽子線治療とX線治療の違いはそれぞれのPDDを見てみればわかりやすいと思います。

ちなみにX線と電子線のPDDの違いについては以前別の記事で紹介したのでそちらも是非参考にしてください。

今回も前回同様にX線と陽子線のPDDを比べていきたいと思います。下手ですけど懲りずにまた手書きPDDを描きました。

f:id:iwataro:20180816011124j:plain

Fig1. X線と陽子線のPDD

さて、X線に関しては前回の記事で書きましたが、特徴としては表面からピークに至るまで、線量が徐々に増加していくビルドアップ領域が存在します。これは表面からピークまでの間は一次線の減弱よりも2次電子による散乱線発生の影響が優位だからです。ピーク後は比較的緩やかに線量が落ちていきます。これがX線。

では陽子線はどうなのかというと、スタートからすでに違いがあります。まず低線量域から始まり、そのままプラトーとなります。そして陽子線の飛程付近で一気に線量が増加し、これを特にBragg Peakと呼びます。ピークとなった後はすぐにストンッと線量が落ちます。これが陽子線です。

 

X線にビルドアップ領域という特徴があるように、陽子線にはプラトー領域と急に線量が増加するBragg Peakが存在するということですね。

 

陽子線治療のメリット

陽子線の適応疾患は割とたくさんあります。といっても病態によってはできない場合も多くあります。

ここで陽子線治療の代表的な適応疾患である前立腺癌を例に、陽子線治療の特徴を見てみます。

従来はX線での治療がメインで、それは今も変わらないのですが、陽子線による治療も大変効果的なんです。といっても治療成績自体はそこまで変わらないと思います。

ではなにが変わるのかというと、副作用の発生率です。

前立腺癌の治療では代表的なリスク臓器として膀胱直腸が挙げられます。

f:id:iwataro:20180816025100j:plain

Fig2. 前立腺Axial像(恥骨レベル)

前立腺癌では当然前立腺がGTVとなります。しかしそのGTVにほぼ密着するような形で膀胱と直腸が存在するため、どうしても放射線が当たってしまいます。
放射線治療の基本は、GTVに大線量を当てつつリスク臓器への線量を出来うる限り抑えたい、という考え方です。

 

ここでX線で前立腺癌を治療する場合を考えてみます。

f:id:iwataro:20180816031240j:plain

Fig3. X線による前立腺癌治療

Fig3は前立腺癌をX線で治療したときの、PDDとAxial像の重ね合わせです。腹側からの一門のみを見てみるとこんな感じになります。この場合、各臓器に当たる線量の大小関係は膀胱>前立腺>直腸となります。当然このまま治療するわけではありません。仮にこのまま前立腺に2Gy処方されるように照射したとすると、間違いなく不可逆的な障害が起きてしまいます。

なのでX線治療をする場合は4門以上の多門照射で治療します多門にすることで正常組織へのダメージを分散させ、なおかつ前立腺への線量を集中させるのが狙いです。

 

f:id:iwataro:20180816033007j:plain

Fig4. 陽子線による前立腺癌治療

Fig4は前立腺癌を陽子線で治療したときの、PDDとAxial像の重ね合わせです。図を見ていただければわかるかと思いますが、プラトー、Bragg Peak、飛程の存在のおかげで前立腺のみに高線量を当てることが可能です。なので晩期障害の発生率は格段に下がります。

これが陽子線の特徴であり、陽子線治療のメリットです。

 

本日のまとめ

いかがだったでしょうか。

陽子線治療について簡単にまとめてみると、

  • 陽子線にはプラトーな低線量域が存在する
  • 飛程付近で線量が急激に増加することによるBragg Peakを持つ
  • 正常組織へのダメージを抑えることができる

といった感じです。

では今日はこのへんで!

参考文献

放射線治療 基礎知識図解ノート

放射線治療 基礎知識図解ノート