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【診療放射線技師国家試験対策】X線と電子線のちがいって?【放射線治療】

みなさん、こんにちは!いわたろです。

 

今日は放射線治療に関しての記事を書きたいと思います。

 

放射線治療で扱う放射線の種類はたくさんあります。

ですが、よく使われている放射線といえば、X線電子線であるといえます。

というのも現在、世界でもっとも使用されている放射線治療装置はリニアックであり、そのリニアックが扱う放射線がそのX線と電子線だからです。

 

リニアック装置を使った放射線治療で放射線技師としてまず知っておきたいのが、そのふたつの放射線の使い分けです。これはよく国家試験にも出題されるところですので学生の皆さんは抑えておきましょう!

 

 

放射線治療におけるX線の特徴って?

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            Fig.1 X線のPDD

 

上の画像は6MVと10MVのX線ビームのPDDです。

 

そもそもの話になりますが、PDDってご存知でしょうか?

 

PDDは深部線量百分率というもので、ある種類の放射線のあるエネルギーを水に照射したとき、そのビームはどの深さで線量はピークとなるのか、飛程はどこまでなのか、表面線量はどの程度なのかなど、つまるところ各ビームの特性を表すものです。

 

ここで重要なことは、エネルギーと照射野サイズによるPDDの違いです。

今回はエネルギーのよる違いに注目していこうかと思います。

 

まずは表面線量の違いです。

 

Fig1の①の部分に注目してほしいのですが、depthが0cmの領域について、6MVと10MVとでグラフの始まりが違うのがわかると思います。この部分は表面線量といい、人でいうところの皮膚に当たる線量です。なので放射線治療では特に皮膚表面線量と呼びます。

Fig1からわかる通り、X線ではエネルギーが高いほど皮膚表面線量は低くなります

これは治療をしていく上で非常に重要な事項で、放射線治療では早期障害として皮膚障害が起きやすいです。日を追うごとに痒みや痛みがでてきたり、服と皮膚が擦れたりした際に出血が伴ったりもします。なので、まずはGTVの位置に適したエネルギーを選択し、適するエネルギーが複数あった場合に皮膚障害のことを考慮して最適なエネルギーを決定するというのが大事です。

といってもエネルギーを決定するのはドクターなんですけど!

 

つぎにFig1の②に注目してみます。ここで6MVと10MVを比べてみると、ちょっとわかりづらいかもしれませんが、ピークの幅が違います。具体的に言うと、6MVではピークは尖っており、10MVでは6MVよりもピークは平坦になっています

なのでX線ではエネルギーが高いほどピークは平坦な領域を持つ!という風に覚えておきましょう。

別の言い方をするとエネルギーが高い方が二次電子平衡となる位置が深くなり、ビルドアップ領域が長くなるとも言えます。 

 

最後にFig1の③を見てみます。ここではピーク深の違いがわかります。エネルギーが高いほどピーク深は深くなるというわけですが、これはなんとなく想像できるのではないでしょうか?エネルギーが高い方が透過力が増してより深部までX線が到達するというだけの話です。

一般的にエネルギーの1/4cmがピーク深となります。

例えば10MVならピーク深は大体2.5cmくらいです。

 

放射線治療における電子線の特徴って?

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            Fig2. 電子線のPDD

 

それでは先ほどと同じように、今度は電子線のPDDをみていこうかと思います。

 

Fig2の①から、表面線量の違いをまず見ます。X線とは異なり、電子線ではエネルギーが高いほど表面線量は高くなります。電子線はマイナスの電荷を持っており、物質中でのエネルギー損失は大きいです。具体的には衝突損失と放射損失ですね。こういった過程を通して電子線は散乱していくわけですが、電子線はエネルギーが低いほど横方向への散乱が大きくなり、浅い領域でどんどん相互作用をしてしまいます。なのでPDDのようにピーク深で正規化すると入射面からークまでの線量勾配が急峻となります。

一方でエネルギーの高い電子線では相互作用を起こしつつも電子線はまっすぐ進んでいく傾向にあるので、そこまでピークとの線量差がないわけです。

 

Fig2の②から、ピークの幅はエネルギーが高いほど広がることがわかります。

ただ、ここで気にして欲しいのはX線のPDDとのピークの違いです。電子線のピークの方がより急峻であるかと思います(たぶんわかりづらいと思いますが)。電子線は先ほど述べた通り、電荷を有しているがためにエネルギー損失が大きいので深さごとの減弱が大きいので急峻になります。

さて、電子線の線量測定では基本的には平行平板型電離箱を使用するというのは習ったかとは思いますが、エネルギーによってはべつにファーマ型電離箱を使用しても良いというのはご存知でしょうか?具体的にはエネルギーが10MeV以上ならば平行平板でもファーマでも良いとされています。

この理由は実はFig2の②が関係しています。繰り返しになりますが、電子線はエネルギーが低いほどピーク幅が狭くなります。この低エネルギー電子線をファーマ型で測定したらどうなるか・・・。僕は実際にそれで測ったことがないのですが、おそらく全く真正性を担保できないものとなるかと思います。

電子線の測定では電離箱は線量最大深にセットアップするので、PDDのピークの位置に電離箱を持っていくことになります。つまりそこにファーマ型をセットすることになるわけですが・・・

ここで重要なことは、ファーマ型電離箱は空洞の厚みがあるということです。

厚みがあり、空洞体積があることによって、ピークの部分だけでなくその前後の昇り下りの部分も含んでの測定となってしまいます。なので電離箱のちょっとの位置の誤差で測定される線量にも誤差が発生します。

やはり線量を測定するのであれば、線量の変化が少ない平坦な領域が適しているかと思います。高エネルギー電子線であればピーク幅が広く、平坦な領域があるのでファーマでの測定も可能であるというわけですね。

平行平板型電離箱は深さ方向の厚みが薄いため、低エネルギー電子線のピークにセットアップしても、その前後の領域は電離箱にかからないため測定に適しています

 

最後にFig2の③ですが、これはX線と同様にエネルギーが高いほどピーク深は深くなります。これは説明不要でしょう。

X線と電子線のまとめ!

今日のまとめを簡単したいと思います!

・X線の場合、エネルギーが高いほど・・・

⇨表面線量は低くなる

⇨ピーク幅は広がる

⇨ピーク深は深くなる

 

・電子線の場合、エネルギーが高いほど・・・

⇨表面線量は高くなる

⇨ピーク幅は広がる

⇨ピーク深は深くなる

 

またFig1,2から、X線の方がより深部にまで到達することもわかります。電子線の最大飛程は一般的に、エネルギーの1/2cmですのでこれも覚えておきましょう!

ただし勘違いしてはいけないのが、より深く到達する方が良いのかというと、全くそうではないってことです。X線は深くまで届くので、より深部の病変の治療に向いていますが、深く届きすぎるので正常組織にも無用なX線が当たってしまうのが問題です。また、電子線は飛程が短いので深部の正常組織にダメージを与えることなく、病変にのみ線量を集中させることが可能ですが、その分、表在的な病変にしか使えない不便さもあります。

 

今回書いたことを頭に置いて、線種やエネルギーを適切に決定するというのが治療においてもっとも重要なことなのかなって個人的に思っています。なので国家試験のためだけに覚えるのでなく将来のためにも今のうちにしっかり覚えておくのが吉です!

 

では今日はこのへんで。